最近ではめっきり減りましたが、一時期、植物による河川水の浄化が叫ばれ、各地に設備ができました。シュロガヤツリ、ショウブ、クレソン、セリなどの植物が浄化効果があるとして、河川水を分岐した水路によく植えられたものです。
これらのうたい文句は、植物に富栄養化の窒素、リンを吸収させるというものですが、残念ながら、植物による吸収は全体の数%にすぎません。10~30%くらい除去できますが、大半は植物に有機物質が絡まって除去されています。この有機物質の中の窒素、リンが結果的に除去されているというわけです。
ですから、植物でなくても杭などでも十分代用ができ、実際そうしている河川もあります。
植物を植えるメリットは、見た目がよいこと、クレソンなどは回収して食用にできることですが、デメリットとしては必ず回収が必要で、ほったらかしにすると、腐った植物から窒素、リンが溶出し、水質が悪化します。これでは意味がありませんね。植物を水質浄化に用いる場合は、回収まで考えないといけません。湖沼における利用は別稿で述べます。