あまり聞きなれない言葉ですが、水質を考えるときに、大事な概念となります。
特に、流速が速い、鉛直方向に混ざる力が働いている、のではない限り、水は意外に混ざりません。
湖沼などの水質を考えるときは、3次元モデルを考え、境界線の混ざることに関して、特殊な式を考えますが、基本的には、上記のような力が働かないときは、水は塊、つまり水塊となって移動すると考えます。川に汚濁物が入ったといって、上下流全てが汚染するわけではなく、混入した場所の前後のみ汚染して、そのまま、下流に移動します。水質解析の時はこのことを頭に入れないと、完全混合と考えると、大きく希釈され、水質変動は小さい、と考えがちになります。しかし、実際は水塊なので、混入した箇所の水のみ希釈に寄与するのであって、水質は非常に高いままです。これは浄化槽などの水処理にも言えるので、念頭において、処理装置の設計、維持管理を行う必要があります。つまり、汚染した水は多くの水で希釈するのではなく、汚染したところを分岐して排水するのが方法です。その代わり、汚染が広がっていないので、短時間で済むという利点があります。水技術者はこの水塊を知っておいてください。